元世界1位レイトン・ヒューイットの息子、クルーズ・ヒューイットが優勝するか──開幕前から世界中の注目を集めた2026 Wimbledonジュニア。しかし主役は、予選ラウンドから勝ち上がったアメリカの16歳、ジョーダン・リーでした。決勝ではクルーズ・ヒューイットを4-6, 6-4, 7-5で下し、ジュニアグランドスラム予選勝ち上がり優勝という2014年ノア・ルービン以来12年ぶりの快挙を成し遂げました。女子はロシアのアンナ・プシュカレワが、Wimbledonジュニア女子史上最長となる2時間23分の激闘の末、中国のスン・シンラン(孫心然)を破って優勝となりました。
男子シングルス決勝 ── 予選から勝ち上がった16歳のジョーダン・リーが劇的優勝
7月13日、ロンドンSW19。クルーズ・ヒューイット(Cruz Hewitt, 17歳) vs ジョーダン・リー (Jordan Lee, 16歳 ) ──前評判では、決勝までノーセットも失わずに勝ち上がってきた第7シードのクルーズ・ヒューイットが有利と見られていました。父レイトンがWimbledon王者(2002年)で、豪州テニス界にとっても悲願の父子2代制覇がかかった一戦。一方のジョーダン・リーは、ITFジュニアランク47位(大会直前時点)ながら予選から本戦入りしたアメリカの16歳。
試合は緊迫の展開に。第1セットはクルーズが4-6で先取。しかし第2セットからジョーダンが本領発揮、6-4で取り返します。ファイナルセットではジョーダンがブレークダウンされる場面もありましたが、粘り強いプレーで挽回。最終的に7-5で優勝を決めました。
この結果、ジョーダン・リーはジュニアグランドスラムで予選から勝ち上がって優勝を果たした選手として、2014年Wimbledonのノア・ルービン以来12年ぶりの快挙を達成。またWimbledonジュニア男子シングルスで優勝したアメリカ人選手としては13人目(2021年サミール・バナージー以来5年ぶり)となりました。
ジョーダン・リー選手のプロフィール
「予選勝者の優勝」と聞くと、一見フロック(奇策や一時の好調)のように思えるかもしれません。しかし、ジョーダン・リー選手の実力は以前から折り紙付きでした。
- 衝撃のU12時代: ジュニアテニスファンの方なら、数年前に「IMGフューチャースターズ」の大会で、左右両利きでフォアハンドを打ち分ける奇才ティアド・ダビドフ(Teodor Davidov)選手とリー選手が繰り広げたハイレベルな熱戦を覚えているかもしれません。ネット上でも大きな話題となったあの試合以降も、リー選手は順調に成長。その後もIMGチャンピオンシップや、世界最高峰のジュニア大会「オレンジボウル」を制覇するなど、世代トップを走り続けてきました。
- 怪我からの復活劇: 2025年は怪我により戦線離脱。2025年の11月から再びITFジュニア等のトーナメントに復帰を果たしましたが、本来の実力はまぎれもなく世界トップクラス。その底力を大舞台で見事に証明してみせました。
- アメリカの驚異的な同世代ライバルたち: 現在のアメリカ男子ジュニア界には、リー選手のほかにもアンドリュー・ジョンソン(Andrew Johnson)選手やマイケル・アントニウス(Michael Antonius)選手といった、ジュニア・デビスカップでもともに活躍した超強力な同世代トリオが揃っています。彼らはすでにITFのプロ下部ツアーでも優勝を飾っており、お互いを高め合う素晴らしい環境が今回のリー選手の復活・優勝を後押ししたと言えるでしょう。
これまでの主な実績
- 2024年:U14 Wimbledonジュニア準優勝(優勝は日本の川口孝大選手)
- 2024年:U16 IMG Academy International Championships優勝
- 2024年:U16 Orange Bowl International Tennis Championship優勝
- 2024年:アメリカ代表チームの一員として、ITF World Junior Tennis Finals(14&U)をProstejov(チェコ)で制覇
- 2025年:Junior Davis Cup にアメリカ代表として出場、チーム優勝に貢献
- 2025年12月:IMG Academy International Championship(ITF J300)ワイルドカード出場から優勝。
- 2026年7月:Wimbledonジュニア男子シングルス優勝(16歳、キャリア初のジュニアGS)
女子シングルス:プシュカレワが激戦を制す
女子シングルス決勝はロシアのアンナ・プシュカレワ(第7シード、Anna Pushkareva、17歳)と、中国の若きジュニア世界1位スン・シンラン(第2シード、Sun Xinran、15歳)の対決は、Wimbledonジュニア女子シングルス史上最長の2時間23分に及ぶ壮絶な激闘になりました。
第1セットをスン選手に先取される苦しい展開となりましたが、プシュカレワ選手が粘り強いストロークでペースを握り直し、5-7, 6-3, 6-4 のフルセットで逆転勝利を収めました。非常にタフで、質の高いストローク戦が繰り広げられた決勝戦でした。
この結果、プシュカレワはロシア出身女子として2016年のアナスタシア・ポタポワ以来10年ぶりのWimbledonジュニア女王に。準優勝のスン・シンランは今年5月のTrofeo Bonfiglio(J500)に続き、Roland Garrosジュニア準優勝、そして今回Wimbledonジュニア準優勝と、まさに『世界1位』の実力を証明する形になりました。
アンナ・プシュカレワ選手のプロフィール
アンナ・プシュカレワ(Anna Nikolayevna Pushkareva)は2009年4月22日生まれのロシア人選手。ITFジュニアランクは2026年6月時点で世界19位、WTAランクは同年3月16日にキャリアハイのNo.988を記録しています。
これまでの主なタイトルは欧州のJ300大会などで着実に実績を積んできたタイプで、ジュニアの最高峰J500級大会での優勝はこれまでなかったものの、それだけに今回のWimbledonジュニア制覇は真のブレイクスルー。決勝の粘り強さは印象的で、フルセット・2時間23分を戦い抜くフィジカルとメンタルは、今後のWTAツアーでも武器になりそうです。ロシア出身選手としては、2016年に同大会を制した後にWTAツアーで活躍を続けるアナスタシア・ポタポワの系譜に連なる存在として注目されます。
スン・シンラン選手のプロフィール ── ジュニア世界1位、15歳の中国の期待の星
スン・シンラン(Sun Xinran)は2010年7月23日生まれの中国人選手(大会時点で15歳)。ITFジュニア世界1位(2026年6月)、WTA最高ランクは同年6月15日時点でNo.612。中国ジュニアテニスの新しい旗手として2025年から一気に頭角を現しました。
これまでの主要タイトル
- 2025年12月:Orange Bowl(J500)優勝
- 2026年5月:Trofeo Bonfiglio(J500)優勝
- 2026年6月:Roland Garrosジュニア女子シングルス準優勝
- 2026年7月:Wimbledonジュニア女子シングルス準優勝
15歳でJ500を2つ制覇し、直近のジュニアGS2大会で連続決勝進出。まだ夏のUS Openジュニアが残っていますが、今シーズン中に少なくとも1つのジュニアGSタイトルを獲得する可能性は極めて高いと見られています。中国はここ数年、女子でZheng Qinwen(世界5位)、男子でShang Juncheng(世界50位前後)といったスターを輩出しており、Sun Xinranはその次世代を担う存在として、中国テニス界全体が期待を寄せています。
U14部門:日本の注目選手オトリエ龍馬選手が準優勝!
ジュニア(18歳以下)の熱戦に負けず劣らずの盛り上がりを見せたのが、14歳以下のカテゴリーです。ここで日本テニス界の注目の男子若手選手オトエリ龍馬選手が決勝に進出。スイスのヨナス・ヴェルティ(Jonas Wälti)選手と対戦し、6-3, 1-6, 6-10という、あと一歩のところまで迫る大激戦の末に惜しくも準優勝となりましたが、そのポテンシャルの高さは誰もが認めるものでした。
オトエリ選手は今年2月にフランスで開催された世界最高峰のU14大会「レ・プチ・ザズ(Les Petits As)」でも優勝。この大会は、過去にラファエル・ナダル、ノバク・ジョコビッチ、カルロス・アルカラスら、のちの世界王者たちが若き日に制してきた「トッププロへの登竜門」。オトエリ選手は、決勝でスイスの選手を 6-0, 6-1 という圧倒的なスコアで一蹴し、見事に世界一の称号を手にしました。 オトエリ選手の今後の活躍にも大注目です。
ウインブルドンジュニアで活躍した選手の参考UTR
| 部門 | 選手名 | UTR |
| Wimbledonジュニア男子シングルス優勝 | Jordan Lee | 13.7 |
| Wimbledonジュニア男子シングルス準優勝 | Cruz Hewitt | 13.54 |
| Wimbledonジュニア女子シングルス優勝 | Anna Pushkareva | 11.05 |
| Wimbledonジュニア女子シングルス準優勝 | Sun Xinran | 11.63 |
| Wimbledonジュニア男子U14シングルス準優勝 | オトリエ龍馬選手 | 11.38 |



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